Technics RS-1500U

Technics_RS-1500U ~オープンデッキ有終の傑作~ 
<オークション:83497312 テクニクス RS-1500U Ends 6月24日21時8分>
– Technics RS-1500U –

●ヤフオクにてあのテクニクスのRS-1500Uを見つける。松下が1976年にTechnicsブランドで発売したオープンリールデッキ、アイソレートループ方式とよばれる独自の走行系が特徴の2トラ38デッキである。私の記憶ではまだそんなに古い方ではないのだが、いつの間にか30年も経っており骨董化してしまっている。RS-1500Uは優れたオープンデッキであったが、時すでに遅くオープンの時代が終わろうとしていた時期の発売であったことが残念である。Technics U-38という名称で当時\244000だった。外装はテクニクスブラックともいえる独特のこげ茶のような黒でこの時期の全シリーズがこの色で部屋に置くとなかなかに落ち着いた雰囲気を醸し出す絶妙な色合いであった。カッコよかったがこのオープンに関してだけは???、というのは10号リールはシルバーが定番の中、黒というリールがなかなかなく、シルバーのリールを取り付けているとどうしても違和感があり似合っていなかったからである。

●憧れの10号リール対応で2トラ2chの録再と4トラ2ch再生が可能、しかもテクニクス得意のDDモータを採用、3モーターダイレクトドライブ方式となっている。特徴であるアイソレートループ方式は大径キャプスタン1つとリバーシングローラー、2つ のピンチローラーで構成された走行系をもつ方式で、従来のクローズドループ・デュアルキャプスタン方式ではキャプスタンの回転精度誤差や公差による干渉が課題でコスト的に見合わない駆動系が要求されるため、松下らしい発想で新たに開発された方式である。φ34㎜という大径キャプスタンは加工精度を追い込みやすく、更に2つのピンチローラーがキャプスタンを左右対称で挟むため軸受偏心負荷がキャンセルされるという絶妙な設計とあいまって38㎝/秒の走行時で3.55回/秒という低速回転化で機械振動やフラッタ成分を少なくでき、ワウフラッター0.018%WRMS(38㎝/秒)、速度偏差±0.10%というターンテーブル以上の安定したテープ走行を実現している。ヘッドブロックは精密ダイカスト製で、録再ヘッドは高硬度パーマロイヘッド、消去ヘッドはダブルギャップフェライトヘッドを採用。2トラ録再ヘッドと、4トラ再生2トラ消去ヘッドが左右に振り分けて装着され、ヘッドがギャップ面を横に向けて縦に並ぶためヘッドを直視しやすくクリーニングが楽。更に、この高精度を支える技術がキャプスタンとリールに直結されたDDモータである。キャプスタン駆動には電子整流子方式のFGサーボDCモーターをクォーツPLLで制御、リール台も電子整流子方式のDCモーターを搭載、モーター及び周辺パーツとともに精密なアルミ合金ダイカストシャーシにマウントされ安定性を高めている。リール回転数でテープテンションを制御する方法を取っており、リールサイズによるスイッチの切換えなしに一定のテープテンションが得られるように制御されるエレクトロニック・テープ・テンション・コントロール方式が採用されている。

●2トラ38の音はやはりカセットとは比べ物にならないものである。高SN比でテープヒスが殆ど聞こえない音の輪郭がはっきりしており高音の伸びも低域の濃厚感も十分、レンジの広い雄大な鳴りっぷりはオープンならでは、やはりすごいデッキである。ブラインドで聴かされるとテープであるとは全く分からない、オケのホール生録のソースではその音場再生はレコード以上であったと記憶している。
オープンデッキはその優れた音質に加えて、生録や編集が可能であることから、このデッキではローノイズパーツ3段直結マイクアンプ搭載、リバーシングローラーに編集用のポイントとエディッテトダイヤルを 装備、バッテリーパック単1電池40本で2時間の屋外生録可能など使い勝手も十分なものに仕上がっている(ただし、持ち運びには23Kgあります)。性能、使いやすさともに優れた世界に誇れる名機である。

●開始価格が\15万である。程度も良いものであるが相当の年代物で、すでにオープンの時代ではなくレストアも必要であることから、\5万が相場で\2万で即買いと勝手に値付け。優れた性能と機能性を誇ったRS-1500Uは一躍松下のオープンデッキ開発技術を世界に轟かせるところとなり、4トラ38のRS-1506U、4トラ38オートリバースのRS-1700U、2トラ76のRS-1800などの後継機を加えつつロングランモデルとなった。この名機を手ごろな価格で入手できれば幸運であると思う。

カテゴリー: オーディオ パーマリンク

コメントを残す