Marantz #9

<オークション:k30834348 Marantz Model9 Ends 6月14日23時31分>
●ヤフオクであのマランツのモデル9を見つける。Marantz社は1953年に設立、ソウル・B・マランツ42歳の時である。翌年にはシドニー・スミスを迎え早くもマランツ黄金時代を築く。このモデル9もスミスの手によるもので管球アンプとしてあまりにも有名、1960年発売で日本では安保闘争のあたりらしい。マランツ社は1961年に天才チューナエンジニアのセクエラを迎え、名機#10を世に出すものの、多大な開発費を投じてしまい資金難でスーパースコープ社の傘下入り、67年にはあっさり退任となるが本人はその後のモデル1で再びセクエラの名を世に知らしめることとなる。マランツは経営の課題が多いわりには転身が上手でこの買収を機にトランジスタへの移行を果たす。その後、スタンダード工業が開発生産を代行するようになり日本マランツへと発展したがフィリップスにこれまたあっさり買収されてしまい、1980年からはフィリップス傘下となるが、この買収を機に今度はデジタルオーディオでの地位を確立するのである。その後2002年には日本マランツが全ての権利を取得し、デノンと合併してマランツ社として現在に至っているがすでに創業当時のスピリットは全くなくブランド名だけが残っている状態である。
●アクロサウンド社が世界で初めて実用化したUL(ウルトラリニア)回路を採用しておりマランツ氏自身の設計によるプリアンプ#7とのセットはその名声を今に引き継いでいる。ULパラレルプッシュプルのため出力段の真空管にEL34を4本使っており、ULで70W、三結で40Wを出力する大型のモノラルアンプで、当時1台約\30万くらいした。#9と#9Rとあって、#9Rはラックマウント型であった。今もそうであるが、管球アンプは石アンプのような箱型ではなくシャシーにトランスと真空管むき出しのデザインである。#9は当時としても斬新なフロントパネルを持っており、さらにセンタメータを採用している。このデザインは秀逸で、その後のマランツデザインの基礎をなって現在に続いている。今回の出品は残念ながら復刻版で\483,000/1台のものであるが、それでも即完売という人気ぶりだったと記憶している。
 
●復刻版は法律上の制約などもあって、電子部品が現在のもので、真空管はスロバキア製となっているなど基本回路は同じであるが、音は現代アンプに近くなっているようである。見たことも触ったこともないため、どんな音かは見当もつかないが、一般的にはスピードとパワー感に優れたUL接続と、透明感があり繊細で美しく鳴る三極管接続といったところか。スイッチで切り替えて音を確認できるのはありがたい機能であるが、スピーカに何をもってくるかで決まると思う。
●開始価格が\63万となっている、程度は良いがレプリカモデルということもありセットで\55万が相場、\30万で即買いと勝手に値付け。現代流にアレンジされているとはいえマランツ#9である。大変な投資をしてオリジナルを使い続けるより、レプリカで安心してマランツサウンドを聴くのも良いと思う。
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