Lowther TP-1

<オークション:g41424532 ローサー、ラウザー、TP-1 Ends 6月4日23時19分>

●ヤフオクにてあのLowtherのTP-1を見つける、ローサーといえば芥川の小説「鼻」に出てくるようなでっかいイコライザが特徴のダブルコーンのフルレンジにとてつもなく大きな磁石がくっついているユニットPM4を思い浮かべる。かなり昔からあるメーカで1950年ころには既に存在しており軽く50年を超えているUKの名門老舗メーカである。日本でもユーザは多くまたユートピアなどのメーカが国産箱を提供していることからユニットの会社かなと思ってしまうが実はスピーカシステムも販売しており、TP-1やAcoustaなどの名機を世に送り出している。今回はその名機TP-1で、オリジナルのようなので取り上げてみたが私自身見たことがないのでなんともいえない。更に不思議なことに、これだけ有名な製品でありながら記憶をどうたどってもあまり正確な記事を覚えていないのである。そこで当時のカタログをひっくり返したり、ネットを検索したりしたが、わかったことは、この会社はよくわからないということである。現在はどうやらいくつかのシリーズが出来ているようで、Aシリーズが昔のユニットに相当するようであるが、昔からいくつかのシリーズがでていたのかどうかはもちろん不明、現在のAシリーズもフレームの形は明らかに異なっている。

●ひ弱なコーンとすぐに切れそうなリード線でつながったなんともたよりないユニットであるが、バックロードホーン向きで強力な磁気回路を持っている。Aシリーズはアルニコを採用したシリーズで口径が20cmくらいの同じ大きさで磁気回路が異なったいくつかの製品が用意されている。背圧の影響を考慮したフレームとなっているらしいが、ものすごいマグネットをたった2本のネジで固定していたりと、なんだか片手落ちのようなユニットに思える。写真などを見るとたしかに似ているが、コーンはケント紙に薬品を塗布したものという説もある、さすがにケント紙は信じがたいが、どうやら輸送を考慮して何らかの薬品を塗布しているらしい。またエンクロージャも年代で様々な機種がありそれに国内外のサードメーカの製品も加わってまさに玉石混合の様を呈しているが、どの機種もエンクロージャーの作りは古いものほど良いようである。このTP-1は1955年あたりの製品のようで、おそらくPM3のシルバーコイルがついているものと思われる。コーナーホーンのスピーカシステムで部屋の壁面をホーンの延長として利用するものである。ストレート足であるが、猫足のものになるとさらに貴重である。古い設計であるため、能率は高めで耐圧が6Wと低く、現代のハイパワーアンプでのドライブには向かない真空管のアンプとは相性が良さそうであるが部屋の影響を受けるので日本家屋に向くかどうかは甚だ疑問。さらにすぐ故障するようで始末が悪い、国内では岡山のカワグチオーディオさんが修理に定評があるようだ。

●諸説あるようだが、アルニコの強力な磁気回路の割にはストロークが少なく低域が出ないユニットのようで、TP-1では板厚12㎜のものを使用し箱鳴りを前提としたホーンとして設計されている。うまく設計されたエンクロージャだと適度に締まりのある、それでいて豊かな低音が特徴となる。中高域も解像度がよくテンションの高い音質はヴァイオリンの演奏などに評判が良い。セパレーションがよくハイスピードな音質はやはり骨董の域ではない、いまだにファンの多いゆえんである。

●開始価格が\45万である。程度の良いもので\30万が相場、\19万で即買いと勝手に値付け。程度は本当に千差万別で判断が難しく眼力のいる製品であると思う。断線故障が多いためメインで使うと苦労しそうであるが、その音質ゆえにいまだにファンが絶えない素晴らしい製品である。

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