Technics SP-10MkⅡA

<オークション:85087760 SP-10MK2A SH-10B3 美品 元箱+固定金具完全梱包 Ends 4月5日22時9分>
●ヤフオクにてあのテクニクスのSP-10MkⅡAを見つける。1970年に発売されたSP-10の改良型として1975年に発売されたSP-10MKⅡは以降のターンテーブルの特性や信頼性評価のリファレンス(標準原器)とされた名器であり世界の放送局が使用、長岡鉄男氏も愛用していた。この頃、私はまだ中学生でレンタルという業態がなくてどんな田舎町にもレコード屋さんがあった、個人がコンピュータを操作してHMVのサイトにネットで注文してコンビニで受け取るなんて想像すらしなかった時代である。そんな時代の製品なのに今でも美しいフォルムを魅せ、立派に機能するSP-10MkⅡは全く古さを感じさせない30年モノ骨董品である。

●世界初のDDということは同時に世界最古のDDターンテーブルでもある。いまだに人気のあるこのターンテーブルは30年を経てなお現役で動作することが可能で、設計の完成度の高さ松下技術レベルの高さを物語っている。当時の松下電器経営陣の業界トップを目指す意気込みを語った開発者のOさんによる情報メディア学会誌の記事が興味深い。さらに、直線と曲線からなるシンプルで凛とした気品を感じさせる秀逸なデザインは今でも斬新で美しい、デザイン部門のKさんの手によるもので氏は現在陶芸家として活躍されているとのことである。クォーツ・フェーズロックド・コントロールで、32cm、2.5Kgのターンテーブルを0.3秒以内でスタート・ストップ(メカニカルブレーキ併用)させる強力駆動トルクが特徴である。MkⅡからMkⅡAへとマイナーチェンジとなり、MkⅡの電気回路がすべてIC化された。搭載されているブラシレスDCモータは6kg・cmという大起動トルクで5kg・cm以内負荷変動0%を実現し、回転数偏差±0.001%以内、ワウフラ0.02%となっている。

●MkⅡはシリーズ最高の音質と評価の高いものである。SME、オルトフォンの組み合わせだったと
思うが、それはすばらしい演奏であった。とはいえ、プレーヤーはカートリッジ、アームの違いから電源ケーブル、出力ケーブル、インシュレータやボードによる違いからヘッドアンプの音の傾向、他、アクセサリーに至るまで音が変化する要素がたくさんありすぎるので、ターンテーブルだけの音の判断は不可能である。輪郭がしっかりしていて高域を濁すことなくかっちりときまる低音、透明度の高い高音は、一聴して分解能の高さを感じさせる。何となく歪みっぽいといった感じがないため、チェロの弦を弾くさまがイメージできるほどである、演奏者の弓使いが分かるほどの臨場感が演奏の迫力となって伝わってくる。

●SP-10Mk2は1975年6月発売で当時の販売定価は\15万、このオークションでは\1万が開始価格ですでに\8.6万となっておりさすがに名器の人気である。 そうはいっても30年モノであり、程度の良いもので\8万が相場、\5万で即買いと勝手に値付け。今考えるとアナログっていうのは同じレコードでもプレーヤによって引き出される情報量に違いがあって演奏者の技量なのか再生装置の限界なのか判断つかないまま聴いていたこともあったように思う。そんな思いをめぐらせるほどの実力機である。レコードでもCDでも感動するものは同じように感動すると思うのだが、そうなるとこんなに調整の大変なアナログはそこが面白くて新しい感動を求め続ける道と、CDの方が手軽でリラックスして楽しめる道と、結局2つの道が並行して続いていき、アナログが駆逐されることはないような気がしてならない。

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