B&W DM4/Ⅱ

B&W_DM4/Ⅱ ~小型モニタの理想形~

<オークション:360377666110 B&W DM4 speakers, Bower Wilkins Ends Jul 14, 201111:02:31 PDT>

– B&W DM4/Ⅱ –

●イーベイUKにてB&WのあのDM4/Ⅱを見つけました。DM4/Ⅱは1976年の発売で、セットで\12万だったと記憶しています。小型モニタースピーカというコンセプトで、狭い場所での使用を考慮した設計だからでしょうか、日本の家庭事情に合ったスピーカで、当時絶賛された名作です。DMとはDomestic Monitorの略で家庭用モニタシステムということになります、家庭用なのにモニタか?ということになりますが、設立当初からの忠実再生を目標として一切の色づけをしないというポリシーの現われなんです、ちょっと頑固ですねぇ。

 当時の小型スピーカといえば、大型フラッグシップの廉価版、価格対策品というイメージが強かったように思います。そんな中での、DM4/Ⅱの登場は小型スピーカの性能はかくあるべきという姿勢を示した逸品となりました。このDM4/Ⅱは箱作りと磁気回路がしっかりしていたのでしょう、W255xH530xD256mmという小型の割には11kgもあるんです。この時代のシステムは今と違って、95dBと高能率で、パワーも30W、今ならどんなアンプでもドライブすることができます。

●DM4/Ⅱは3ウェイ構成ですが、2Way+スパートゥイータといった感じの構成です。ウーハーは独自仕様のDW200/4、ユニットは20cmで、KEFのユニットにも採用されていたベクストレーンコーンを使っています。分割振動を起こしにくいダンピングに優れた特性を持っていて、KEFのユニットは長きにわたりヨーロッパで主力となりました。BBCモニターとして有名なLS3/5Aなどにも採用されていますね。DW200/4は元々中低域の再生が可能なユニットなので2.5kHzのクロスでも十分に動作できます。

 トゥイータは歴史的名品でもあるセレッション社のの3.4cmソフトドーム型のHF1300MKⅡ、スーパートゥイータも名品ですねぇ、STC社(ColesはSTCの製造委託会社)1.9cmドーム型の4001Gを採用していて、これを14KHzでクロスさせています。それぞれ余裕のあるユニットを配置することで広い指向性を示すと同時に、受け持ち帯域を十分にカバーしています。

 ネットワークはポリエステル・フィルム型のコンデンサーを使用。エンクロージャーは30~60Hzのfo付近をダンピングさせるためにダンプドバスレフ方式となっています。このため、ローエンドの伸びが抑えられておりf特は80~20,000Hz(±5dB) となっていますが、歯切れのよい低域が透明感のある広域とつながりよいモニタ的な音色に仕上がっています。

●B&Wは価格よりも音質優先というポリシーの会社として知れていますが、現行モデルよりも
当時の方がもっと響きがあってクラシックよりだったと思います。

 また、このDM4はスペンドールのBCⅡと同じ構成をしているというのも面白い事です。BCⅡは高さが63cmと一回り大きくてゆったりと鳴るようですが両方ともモニタというだけあって音の傾向は似ています。低域ユニットは口径は同じですがそれぞれオリジナルで、DW4の方が低域が30Hzまで延びています。これをダンプトバスレフで抑えていますからそのあたりの低域の伸びと歯切れの良さの違いが異なる印象となるのでしょう。

 DM4は低い位置にセッティングすると低域の量感が増えて、穏やかで広がりのが出てくるのでより臨場感のある演奏になります。

●価格は£49(約6900円)で1BIDと大した人気ではありません。\3万が相場、\2万で即買いと勝手に値付けいたしました。オリジナルではあるのですが、程度があまり良くないのでしょう、この価格で日本で出品される事はありません。一桁違いますね。

 イギリスに行く人がいたら持って帰ってもらいたいものです。だって送料が価格の二倍以上ですから、、。日本でこれだとこのブログ書く前に私が落札してますね。

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UREI 813

UREI_813 ~大型スタジオモニターの雄~

<オークション:220788838253 UREI 813 Studio Monitor Speakers Ends 02 Jun, 2011 15:27 BST>

– UREI 813 –

●イーベイUKにて、UREIのあの813をみつけました。ウーレイっていう幽霊みたいな名前の会社ですが、United Recording Electronics Industryの略で、プロ用機器の有名な老舗です。Bill Putnamによって1958年にUniversal Audio社(現存しています)が設立された後に、ビルによってUERI社も設立されましたが、今はJBLに吸収されてUREI社は残っていません、業務用アンプのJBL/UREIとして出ています。
 この813は1977年の米国発売ですからもう30年以上前の製品になります、当時\100万という高価なスタジオモニターとして発売されていました。録音スタジオの壁に埋め込まれているスカイブルーのホーンが際立つ大変印象的な813の写真を見た人も多いと思います。813は頻繁にレベルアップされ、813Bになるとコンシューマー用としてユニット保護ヒューズやアラームランプなどが省略された813BXという大型フロア型も出ました。木目のキャビネットが綺麗で、ALTECの6041みたいなスピーカでした。

●813シリーズはUREI独自のタイムアライメントネットワークを採用したモニタスピーカーシステムで、マルチユニットによる位相ズレを解消しています。ウーハの位相を電気的にずらすことで、両ユニットの音響中心を揃えたのと同等以上の効果で、リスニング・ポイントの位相差をなくすもので、スタジオ録音に重要な優れた定位を実現しているんです。
 813の構成は、サブウーハと同軸ユニットの2スピーカの3ウェイ・バスレフ方式で、f特は40Hz~17.5kHz、8Ωで150W、幅787×高さ908×奥行559mmで、重さはなんと80kgという超重量スピーカです。
 まず813Bでは、同軸ユニットにUREI自慢の801Bを採用、これはPAS(Professional Audio Systems)社製38cmノンコルゲーションコーンにJBLの高域ドライバとホーン(2425H+800H)を埋め込んだ同軸型ユニットで、ホーンの開口部にはあのスカイブルーの発泡プラスチック製のユサ・フォームが塗布されています。これは、適切な空気インピーダンスとスムーズなレスポンス?を実現しているのだそうで、意味分かってませんがただのパフォーマンスではないようでしたぁ。サブウーハにはケンタッキー州のエミネンス(Eminence)社(いまでもギターアンプのスピーカユニットなんか作っていま~す)のウーハを採用。この813Bが大ヒットになってUREIはスタジオモニタとしての座を確実なものとしました。
 でも私の知っている813は確かアルテックのユニットだったと思っておられる方、そうなんですねぇ、初代813はアルテック604-8Gとサブウーハにエミネンス社の800Wが搭載されていまして、今回の出品がまさにこれにあたります。この時のホーンはあの青いユサ・フォームは付いていなかったはずなのですが、出品画像にはなぜかちゃんとついていますねぇ。
 813は1979年に磁気回路がフェライトの604-8Kへ変更となり型番が813Aとなりましたが、このときホーン部にユサフォームとホーン内のレゾネータ(風切音みたいな高域の吸音材って感じです)が付きました、これはカットオフ近辺のあばれとか3kHz付近のピークを改善するためなんだそうです、こんなんでいいんだぁ、って感じですが、、。となると今回の出品は813Aとも思えますが、実はネットワークが838が搭載されていまして、これだと813となります、813Aではネットワークは839に変更されているんです。ただ、813Aと813のカタログを見ますと、813にはユサフォームは付いていなくて813Aには付いていますが、搭載ウーハは813と同じ、604-8Gと記載されているものがありました。どうも813から813Aへの過渡期にはどっちもありだったみたいですねぇ、このあたりあんまりこだわっていないところがいかにも海外メーカだと思いました。
 さて、1980年代初めになるとアルテックが供給不安を起こすようになりました(品質上の問題らしです)。そこで代わりにPAS社の同軸ユニット採用となるわけで、これが813Bで1983年に米で発売、813シリーズの中で一番売れたモデルとなるわけです。
 ちなみに813の最終モデルは813Cで1984年の発売でJBLのE145と2425(2426)を組み合わせた同軸ユニットと2215Hウーハの組み合わせです。エンクロージャーは板厚25mmの高密度チップボードで内部の全コーナーは約40mm角の米松角材で補強されています。

●813はセッティングでかなり音が変わるようですね。そもそも奇妙なセッティングで、サブウーハーが上になるようにして、ホーンがリスナーの耳の位置になるように設置するのが本体の使い方らしいのです。このためには高さが数十センチもある頑丈なスタンドが必要となりますし。さらに背面を共振しにくい堅固な壁面に密着させる必要があるそうです。もっとも家庭用ではなくてスタジオ用だからこれでいいのでしょう。でも家庭では大変扱いにくい、もっともそんな人はめったにいませんが。
 音は、JBLのカラっと明るい音よりさらに楽天的だそうで、なんのことやら。これではなぜ813がスタジオで認められたのか不思議です。モニタースピーカーとしての明晰な音、なんら色づけされないモニタリングとしての役割にはおよそふさわしくない、弾みのついた明るい響き、雄大なスケール感でアメリカ的な朗々とした豪華な音らしいのです。
 たとえばマッキントッシュなんかの豪華アンプで50年代のジャズを目一杯の音量で鳴らしたら、輝きと生命力に満ちた豪華サウンドで至福の時となるのでしょうが、バロックファンの私には到底合いそうにありません。
●価格は即決価格で£1499(約20万円)となっています。813Bだと人気機種なのですが、初代813ということで、\25万が相場、\8万で即買いと勝手に値付けいたしました。

 なんせ160kgですからね、送るのが一苦労で、もちろんUKからは無理ですよねぇ。もっとも日本で売っていても、これをウサギ小屋の一般家庭で鳴らそうとは思いませんが、逆にこれ買って鳴らせる環境の人がうらやましいっす。
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LINN Sondek-LP12

LINN_Sondek-LP12 ~アナログの原点であり頂点~

<オークション:140546295775 Linn sondek LP12 Akito arm Ends 15 May 20:49 BST>

– LINN Sondek-LP12 –

●イーベイUKにて、LINNのあのLP12をみつけました、アーム無しだと\399000で今でも発売されていますが今回の出品はAKITアーム付き(\178500)のものです。LP12は、なんとも息の長い、そして見た目の割には非常に高価なプレーヤーです。でも世界中で凄く売れているのでしょう、オークションに出ていない日はありません。さらに、今回リンのHPを見て知ったのですが、このベースシステムは底板もなしでそのままでは動かないようで、アームや電源を含めると軽く\80万を超えてしまうそうです、ひぇ~。
 さて、リン(LINN PRODUCTS LIMITED)は英グラスゴーにあり、アイバー・ティーフェンブルン(Ivor Tiefenbrun)によって1972年に創設、そのときに発表したのがこのSONDEK LP12なんです。必要最小限のサイズにシンプルなデザインを維持しながらも、40年間に渡る各部アップグレードにより世界トップの音質を追求し続け、常にアナログプレーヤの頂点に君臨し続けてきた怪物プレーヤです。LINN PRODUCTS社はスピーカーやアンプ、CDを次々と発表しており、現在ではオーディオ機器だけでなくソースであるCDソフトも提供する音響総合メーカーとなっていますねぇ。
 アイバーの父親がヨーロッパ有数の精密切削工場 CATSLE PRECISION ENGENIERRINGを経営するという恵まれた環境が出発点となっており、リンの精密加工技術の原点なんです。英国政府の技術者養成機関でもあるこの工場は、実はシャーシ加工・塗装を行うLINNの工場に隣接していまして、LINNのアルミ切削部品、ロールスロイス社のエンジン部品、ベントレーのブレーキディスクなどの精密部品の生産を行っています。

●アメリカで大ヒットしたLP-12ですが、当時はモータロゴに回転精度の悪いプーリー、ベルトの伸縮など多くのアナログプレーヤの問題を抱えていました。そこに桁違いの精密機械が入ってきたわけですから米国びっくりなわけですが、凄いのはそこで終わりじゃなくてずっと改良し続けているというこの企業精神だと思いますねぇ、さすが王室御用達です。
 さて、このLP-12ですが、もちろんベルトドライブでネオブレン製ベルトは厚みの偏差0.01ミリに研磨加工されています。偏差0.03%と大したスペックでもない駆動モーターは未だに24極ACシンクロナスモーターです。交流電源の影響を受けるしトルクもたいしたことないしぃ何でぇ?って思っていたんですが、ここの電源を強化するのがLINGO(1990年)で、ついにDCモータへのアップグレードキットも\95万で販売されてましたねぇ、高額なのですごいのでしょうが回転制御がかかるのでこのあたり音質的に好みが分かれそうな気がします。
 そしてリンの売りは何と言っても精密加工を必要とするセンタースピンドルとハウジングの加工です。スピンドルは高硬度バイト刃用炭素鋼が材料で、これを切削し先端は完全な球面に加工されてます。その工程はなんど12段階にも及ぶとのこと、でも炭素鋼って削る刃の方に使うものなのでこれをどうやって削るんでしょうねぇ。ハウジング側は内面が鏡面仕上げされています。垂直方向はまさに1点のみで接するシングルポイント・ベアリングとなっていて、リンの水平線に▽のロゴマークはこれなんですよねぇ。水平方向のスピンドル支持はオイルの膜がスピンドルをサポートするオイルバス方式です。超精密加工のみが成せる技でして、これが他社ではできなかった加工技術の粋なんです。日本の中小企業の巧みの技に似ていますねぇ。
 もう一つが、プラッターで膨張率の等しい素材を使ったインナーとアウターの2重プラッターとして共振を打ち消す方式です。アルミ/錫/コバルト/マグネシウム/亜鉛の特殊合金だそうで、回転バランスを作り込みながらの切削工程は7段階、切削による内部歪を除去するため工程間は一定期間材料を寝かせているのだそうです、なので加工期間が4ヶ月もかかるわけですねぇ。簡単に作れるアルミダイキャストと裏面にバランスウェイトの穴あけ程度の加工では決して得られない回転精度はここから生まれていたんですねぇ。
 つぎにサスペンションですが、ターンテーブルとトーンアームは、本体内部のサブシャーシで一体化され回転軸とトーンアーム軸そして針先の位置関係が固定されています。このサブシャーシは自慢の三点支持のサスペンション・システムにより、信号系の振動フィードバックが遮断され高いハウリングマージンが達成されている、とのことですが、一見ただのコイルスプリングです。私でも作れそうな貧相サスペンションですし、スプリングの三点支持は厳密に言えばカートリッジを交換するたびに水平調整をやり直さないといけないはずですが、なぜかこれが実際スゴイらしいです。
 回転の決めてとなるプーリーは±0.0025mm未満の高い精度で鏡面加工されたプーリーで、ネジや接着剤を使わずにモーター軸に圧入されており偏心による回転ムラを防いでいます。

●音をここで今更述べる必要もありませんが、思わず聞き惚れてしまう音楽再生、精密で正確なリアルサウンド、音楽を愛する方々にいつも新しいときめきを吹き込み続けていますってリンは言っていますが、、、言い過ぎだろ、と言えないところがやっぱり怪物プレーヤですねぇ。ただ、調整箇所があまりにも多くて、国内ではリンの技術者がセットアップをやってくれることになっています。
 針が降りて音が出た瞬間から「おおっ」と息を呑んで目を閉じてしまうんですよねぇ、もう宗教に近くなってきています。DCモータは聞いたことありませんが、リンゴ電源だど(水晶発振から作り出した方形波から完全な正弦波を作り出しACモータを駆動、しかも起動時には高電圧でスタートアップさせ瞬時に定速に移行後、低電圧で静かに駆動という巧みの技)レコードの最初の一発からダイナミックレンジの広さに驚きます。きちんと設定すればアナログってこんなに凄いんだ、と思えます。繊細で緻密ですがドカンとくる迫力も難なくクリア、ffからppへの静寂さは演奏者の息遣いまで分かりそうです。すごいの一言ですが、調整は専門店じゃないと難しそうな感じがして案外扱いづらいのかもしれません。

●価格はすでに£512(約6.7万円)となっており10Bidsです、UKだとこんなものなのでしょうか、日本では信じられない価格ですねぇ。最近のものはあまりにも高くて、今回の出品もそんなに古いものではないようです。\18万が相場、\9万で即買いと勝手に値付けいたしました。UKにいたら即買いの状態ですが、もう少しは上がるでしょうね、日本なら最低でも二倍にはなります。
 イギリスに行く人がいたら持って帰ってもらいたいですが、、、毎度のことですが、日本人の目で確かめないと英国モノはあぶない、、。それにしても、、、安いっ!

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CROWN IC-150A

CROWN IC-150A

CROWN_IC-150A ~プロ用メーカが作る民生の名作~

<オークション:b116381952 CROWN IC-150Aクラウンプリアンプ Ends 5月9日22時7分>

– CROWN IC-150A –

●ヤフオクにて、クラウンのあのIC-150Aを見つけました。CROWN社は、その実力で今でも高い評価を得ている米インディアナ州にある業務用音響機器メーカです。1947年にRubyとMooreによりIREC(International Radio and Electronics Corporation)として創業、当初はオープンデッキを作っていました。1975年にIRECのスペルが長すぎるということで、CROWNに社名変更しています。チャンネルディバイダーや民生用アンプなどを開発していた時期もありましたが、2000年にハーマンインターナショナルグループの傘下に入り、現在ではプロ用パワーアンプ専門メーカとなっています、D-45が現役ですねぇ。
  CROWNのアンプは以前からJBLとの相性が良く技術力の高さでプロから信頼の高かったブランドですが、日本では商標の関係でAMCRON(アムクロン)というブランドで販売されています。プロ専門メーカですがきまぐれでIC-150のような民生オーディオ用のRCA端子主体のプリアンプを製造していたこともあり、その性能は名機といわれるオーディオ機器を軽く凌いでいると言われています。残念ながら音のことしか考えていなかったようで、デザインを良くして高く売ろうという気配は感じられません。デザインは無骨で味気なく、気品あるリビングに合う高級感あるデザインではありません。音はすばらしいのですが。
  そのきまぐれというのが今回のプリアンプなのですが、1970年にIC-150として発売、1974年にIC-150Aとなり\193000で、1983年まで販売されていたはずです。Aが付くことでパネルの雰囲気が若干変わり、前面にヘッドフォンジャックとAUX3の入力端子が追加されましたがツマミの配置は変更ありません。

●IC-150Aはクラウンのプリアンプとしては最も有名といえる名機です。アンプの型名の由来となっているのがオペアンプICを使ったプリだからということ。確かに回路図を見るとオペアンプだけのシンプルなプリアンプです。
  ただですねぇ、150と150Aの回路図を見比べてみますと大分違いがあって、Aがついただけではなさそうなんです。しかもIC-150のときのフォノにはオペアンプLM301Nの記載はありますが、回路図はディスクリートで構成されていてあれ?って感じ、ラインのオペアンプにはモトローラのMC1439Gが使われていて、これはタコ足と呼ばれる缶タイプのICです。150AではフォノにはLM301N、ラインには1回路FET入力オペアンプLF356Hが用いられています。マニュアルには8PINのDIPの形で掲載されていますが実際には缶タイプも使われていたようです。
  しかもそれだけではなさそうで、時期によって使われているオペアンプの型番に違いがあり、150Aは基板自体も6~7種類あるようです、150では回路図は三世代ありました。オペアンプはモノによって数千円~百円位まで価格に開きがあり、オーディオ用は最高価格かというとどうもそうでもないようです。オペアンプですから1回路18Vで型格仕様が合えばどれでも良いのでしょうが音は変わってしまうでしょうね、バーブラウンのOPA134など解像度を上げて好みの音に改造するか、図太いオリジナルの音を追及するかは意見の別れどころになりそうです。経年変化でコンデンサやボリュームのガリが出てる場合が多いですね、ボリュームは米CTS製で今でも購入可能、1000円弱とそんなに高くありません、ギーターアンプなんかに良く使われています。
  f特は3~100kHzと広帯域で、歪は20~20kHzで0.05%以下と低歪、SN比95dBと高性能機です。音楽的にも優れた音質は現在でも愛用者が多く現役で多数活躍、修理記事なども抱負にあります。国内ではそれなりの価格で見かけますがUSでは大変安く、信じられないコストパフォーマンスです。重量は9.1kgとわりと重く、電源系がしっかりしている様子が伺えます。120V仕様ですが150Aは100Vに変更できます。125Vの場合ステップアップしないでそのまま使うとリレーが誤動作するようです。

●低域での力感があり、からっとしたサウンドで往年のALTECやJBLとの相性はいいようです。Jazz向きってことでしょうか。SNも高く解像度もそこそこあって、がしっかりとして音の芯が強いのが特徴。細部にこだわらずに大づかみにぴしっと決める傾向があるので、解像度を求めるならより新しいSL-2などの方が良いようです。クラウンのプリアンプは、IC-150からSLシリーズ、PSLシリーズとなるにつれ、だんだんと音がクリアになる傾向にあり、図太さより繊細さが増してきているようです。
  Jazzの好きな方で図太さが欲しい方には150Aはお勧めの逸品でしょうねぇ。

●価格は開始価格が\79500と高額なため0BIDです。ヤフオクやイーベイでは150、150Aがいくつか出品されていますが、この出品者の画像がとても綺麗だったので使わせていただきました。
   米国ですと$200あたりですが、日本ですので\4万が相場、\2万で即買いと勝手に値付けいたしました。今回はケースなしですが、かっこいいウッドケースもあります。やっぱり画像は大事だなぁと痛感しました、一見してとても綺麗で品質が良く音も良さそうに見えます。
   それにしても日本と米国でかなり価格差のあるアンプですねぇ。

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Goodman_AXIOM80

Goodman_AXIOM80 ~EJジョーダンの原点~

– Goodman AXIOM80 –

●ヤフオクにて、グッドマンのあのAXIOM80を見つけました。
EJジョーダン(Edward James Jordan)が開発したフルレンジユニットとして有名ですが、実際はジョーダン氏は開発ではなく民需に転用するときの技術スタッフだと本人が来日したときにヒノオーディオで言ってました。ジョーダン氏といえば、私の大好きなジョーダンワッツのモジュールユニットを開発し、その後はALR/ジョーダン、EJジョーダン社で活躍し、名実共にメタルコーンの第一人者で~す。
 グッドマン社は1935年にイギリスで設立されたオーディオ専門メーカーで、AXIOM80という軍用スピーカーで有名になりました。現在でも会社は残っており、ポータプルCDプレーヤーなどを発売しています。
 さて、この超有名なAXIOM80ですが、元が軍用のためコーン修理を容易にする構造となっており、このあたりが扱いづらいユニットの原因となっているようです。
 いろんな雑誌に、扱いにくいユニット、アンプを選ぶユニット、など酷評でありながらも同時に、使いこなした時の音はたまらなく人を魅了する、など絶賛記事にも事欠かない何とも変なスピーカなんです。

●AXIOM80は、f特20~20kHzで、15Ω、12Wという真空管時代の製品となります。でもフルレンジとしては信じられない帯域を持っていますよね。そして、foが20Hzとなっており、通常では考えられない低foです、よほど振動板が軽いのでしょう。その割りには重量が4.2kgと鉄の塊のような重いユニットです。
 その理由ですが、裏面を見るとグレーの鋳物そのままの粗いつくりのフレームに真っ赤に塗装された円筒型の外磁型マグネットが付いていまして、これが磁束密度17500ガウスという強力な磁気回路なんです。前面から見ると、ダンパを取り付ける鋳物フレームが格子のようになっています。重量級って面持ちです。
 更に、口径は24cmという特殊なサイズで、ストレートに近いコルゲーション入りの硬い紙質のコーンに、大きめの硬質にプレスされたダブルコーン、センターキャップなしという大変特徴的な形をしています。
 特筆すべきは振動板の支持方法ですが、世界でもこれだけという特殊なつくりです。写真でおわかりと思いますが、普通ならコルゲーションダンパーに、エッジはダンプ剤が塗布されて振動を吸収しているものですが、このAXIOM80は、エッジもダンパもベークライト製、エッジレスでコーンを三本の樹脂系リボンで支える形状で、それをドライバ1本で交換できるようにフレームにネジ止めされています。もともと軍用だったため、音よりコーン紙交換を優先した設計で、オーディオ用途では考えられない構造ですが、民需としてもモニタ用だったようです。

●私は、AXIOM80ではなくて、301を聞いたことがありますが、イギリス風の渋さと抜けの良い聞きやすい音のするいいスピーカだなぁと思いました。さて、同じグッドマンのそれより遥かに名機として有名なAXIOM80ですが、低音がまるっきりでない、中音はカンカンと妙な共鳴がつきまとう、高音域では耳を刺すようながひどい音、なのだそうです。推奨するボックスに入れて、アンプを選んで、ぴったりくればこれほどのスピーカはないということなんでしょうが、、。
 私の勝手な見解ですが、軽量コーンに強力な磁気回路という高能率タイプなのでオーバーダンピングのため低音が出にくくてハイ上がりなのだと思います。更に、ダブルコーンの干渉による中高域でのディップがあるはずで、おまけにベークライトのエッジとダンパが共振して、高域になるとピークディップの連続で、これが耳を刺すような歪感を伴うのでしょう。
 たぶん両端がかまぼこのf特でピークディップが多いわけですから、最近のフラットアンプのみってのはダメで、トーンコントロールで音質が劣化しないプリ
(となるとお値段もそれなりになってしまいますが)が必要そうです。そして低出力ながらオーバーダンプをハイスピードで動かしきる電力と高域を柔らかめにするようなパワー、
となるとNFBの少ない三極管のPPアンプが欲しいかなと思います、出品者の方は300Bシングルを使われていたようですが、これがまた高いんです。
扱いづらいかもしれませんが、現在ではそんなに難しいアンプ選びではないように思いますねぇ。ちょっと金食い虫ですが、悪戦苦闘という時代ではなさそうです。
 ただ、大変個性的なスピーカなので、どのようなジャンルの音楽をもAXIOM80の音にして鳴らしてしまうようです。ところがこれが、バロックなどの弦楽器を中心とする器楽曲や女性ヴォーカルとなると、軽快で高域までツンと通った鳴り方が大変魅力的となって多くのファンの心をつかんでしまうのではないでしょうか。

●価格は開始価格\18万です、私としましては絶妙な設定だと感心したのですが、この時期だからでしょうか0BIDです。ユニットだけでも古いものでも\10万くらいはしますので、新品同様となると18万くらい、これにヒノ製でしょうか、エンクロージャもつくとなると、\25万が相場、\10万で即買いと勝手に値付けいたしました。扱いにくいと言われながらも、多くの人を魅了して止まない名機です。今回は、エンクロージャ付きでユニット未使用と、お買い得感がありますね。

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Marantz Model3

Marantz_Model3 ~至高の真空管クロスオーバ~

<オークション:145868447 marantz 真空管ネットワークデバイダー Ends 4月 3日 22時 20分>

– Marantz Model3 –

●ヤフオクにて、マランツのあのModel3をみつけました。model5の一年前の1957年に発売されたチャンネルデバイダです。1957年はNHKのFM放送開始だそうです。model4(電源)とセットだったようで、当時\10万位で売られていました、ステレオで\20万、これにウッドケースすから当時としては驚異的な高価格です。私はチャンデバを使ったことが無いのでオヤ?って思ってしまいました、2Wayなのでクロスオーバは1ポイントのはずですが、2ポイントあります、なので、ああ左右で独立なんだぁ、なんて思ってしまいましたが、ハズレ~モノラル仕様でしたぁ。LowとHighで独立なんですね、なるほどこれだとクロスポイントを意図的にズラして調整できるわけなんですねぇ、当然レベル調整もできるようになっています。なんでもできていいのですが、こんなことするからマルチは設定が大変だってことになるんだと思いました。私なんかではとても調整できませんよぉ。調整機器も一緒に発売してもらいたいですねぇ。マランツは早くから、混変調歪やセパレーションの対策としてマルチを考えていたようで、当時のカタログには「なぜマルチがいいか」というRoyAllison氏の文献を参考に載せるなどして啓蒙にも一役買っています。というわけで、今回がマランツの真空管シリーズ最後となりました、おさらいしますと、#1、#7がプリアンプ、#2、#5、#8、#9がパワーアンプ#4が電源で、#6が#1のステレオアダプタ、10がチューナ、そして3がチャンデバでした。

●さて、このmodel3ですが、電源はmodel4を使います。model4はセレン整流子を用いたマランツ得意の電源です。整流はセレンじゃないとだめだというマランツファンの方も大勢います。見かけ上ツマミが4つあって、上の二つがクロスオーバポイントの切り替えです。新品だとここにはプラスティックのカバーがついています。ポイントを間違えて切り替えてしまってトゥイータを破損しないようにするための保護だそうです。下の二つはレベル調整です。このmodel3は2Wayモノラルなので、二台必要、3Wayにする場合はこれをカスケードに接続して使うことになり、合計四台必要になります。2Wayデバイディングですが、帯域としては3Way帯域でのクロス可能も想定しているために、70Hz~7kHzまでの12ポイントで切り替えができるようになっています。スロープは12dB/octで、ポイントは1/2オクターブ間隔です。グライコなんかも大体1/2オクターブなわけですが、私は人間の聴覚に起因していると思っています。つまり、人間の蝸牛の聴覚レベルが1/2オクターブ単位なので、それにあわせたのでしょう。増幅には12AX7を3本使っています。双三極間なので、合計6個となります。LowとHighを初段の後に分割するのではなくて、入力後いきなり並列にして、初段のあとフィルタを介して、後ろ二段でゲインを稼いでいます。このため、それぞれ3段必要となり、12AX7を三本使用ということになります。

●さて、マルチにすると調整大変なので、こんなもの使って音を聴いたことなんてありません。オーディオショップでもマルチできちんと調整してすごい音で鳴っているなんてショップにであったことがありません。オペラなんかゴジラの口より大きくて、ギターがマッチみたいに小さい定位だったりまあ、がっかりすることしかありませんでした。マルチを組むときに、アンプをどうつなぐか悩まれる方がいるようです。ステレオパワーアンプを、左右の高域と左右の低域に分けるか、左の高低と右の高低にわけるか分担の話です。同じアンプなら左右に分けたほうがセパレーションがいいでしょうが、違うアンプなら当然高域、低域で分担させるしかないことになりますが、そもそもステレオアンプを使うこと自体が間違っていると思います。マルチにするなら、フルモノラルじゃないとだめなんじゃあないかなぁ、、と思っているのですが、、、まあコストの問題ですが、それだけマルチってのはセレブ向けシステムということではないでしょうか。と、グチグチいっていますが、つまりまともなものを聴いたことがないんです。しっかり調整されるとすごいんでしょうねえ、セパレーションが良くて、逆起電力の問題もなくて、歪の無い音ってのがどういうことになるんでしょうか、、、。まさに究極ですねぇ、こんなことを1957年にすでに考えていたというのがマランツ社の凄いところです。

●今回の出品ですが、開始価格が\30万となっています。プラスチックの保護カバーはついていませんが、全体的に綺麗な方です。もちろんウッドケース、電源も付いています。とはいえこの価格ですから0Bidです。めったにないのでプレミアも付くでしょうが、それでも\15万が相場、\8万で即買いと勝手に値付けいたしました。画像を見る限りでは、程度がよく丁寧に使っておられた様子です、model3が世の中に出ることはめったになくて私がヤフオクで見かけたのはこれが始めてです、大変貴重な出品だと思いますね。価格がかな~り高めですが、ほしい人はさっさと買わないと二度と手に入らないかもしれませんねぇ。

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Marantz Model5

Marantz_Model5 ~#2から洗練されたデザインと音~
 
<オークション:390247222993 Pr Marantz Model 5 Tube Amplifiers, Consec SN, Clean Ends Oct 31 PDT >
 
– Marantz Model5 –
 
●イーベイUSにて、マランツのあのModel5をみつけました。#2の二年後の1958年に発売されたモノラルパワーアンプで、米国では155ドルで発売されていたようです。この年にはステレオレコードが登場しています。
 次機種なのに、#3と#4が欠番ですねぇ、開発に失敗でもしたのかと思えますが、そうではなくて、#3は2ウェイ・マルチアンプ用のクロスオーバユニットで、#4は#1や#3につなぐパワーサプライの型番なのでしたぁ。#3は#5の1年前の発表なので、クロスオーバと組み合わせるマルチアンプとして
すでにこのとき#5が設計されていたということになりますね。ついでにこの後の名機#7もこの年に発売されています。で、また#6が欠番に見えますが、#6は#1をステレオ使用するためのアダプタです。ついてですが、#8がステレオパワーアンプ、そして名機#9へと続きます。#10というのはないのかというと、これはですねぇ、チューナになるんですよ。この#10というのがまた歴史に残る超名機なわけです。これで管球式は終わりとなります。
 
●6CA7のウルトラリニアで30Wの出力です。この#5の回路構成は#2とほぼ同じなんです。初段は5極管6BH6の三結、次段は6CG7のカソード結合型の位相反転段、そして終段が6CA7のPPとなっています。ところが、内容は洗練されているようで、#2では位相反転段のカソードに193Vかかっていたのが#5では104Vに、初段のプレート電圧は185Vから93Vにさがっています。また、6CG7による位相反転段のグリッドに繋がっているコンデンサーはグッドオール社製が採用されています。
 一見かっこいいのですがトランス類がまとまってケースに収められていますね、しかし、電源トランスは密閉ケースに入っていないまま、アウトプットトランスにくっついて配置されています、そのため、ショートリングでハム対策が施されています。#5は#2の簡略版ともいえますが、内容はよく吟味されたつくりで、縦型のすっきりしたデザインから考えても、マルチチャンネル用に#2をリファインしたものといわれているのもうなづけますね。設計者のシドニースミスがもっとも好きなアンプだったそうですが、デザイン、性能ともなかなかのものです。
 
●聴いたことがないのでなんともいえないんですが、#2よりもワイドレンジになりましたが、反面、力強さがあまり感じられなくなっているようです。#2では最新のCDでは厳しいものがありますが、#5ではまるで現代アンプで聴いているかのように低域も伸び、高域もそれまでの機種では再生が難しいシンバルの余韻までも見事に再現することが出きるようです。現代的な音ではある反面#2のような図太さがなく全体的に音がやせて聞こえるようです。#1よりも#7と組み合わせることで、高域の特性が改善され、同時にぐっと深みが増して現代のソースにも立派に対応できると評する人もいまして総じて高い評価ですね。私としては、#5はやはりマルチアンプで使ってみたいものです、ずらっと並んでいる様はさぞ圧巻でしょうねぇ。
 
●提示価格は$4,995.00(約\49万)です。なにせ50年経っていますから程度の良いものは少ないと思います。ほどほどのもので\35万が相場、\18万で即買いと勝手に値付け。model5はめったに市場にでてこない一品です。ちと高いですが、シドニー・スミスのお気に入りの作を手に入れるめったにないチャンスをどうでしょうか。
 
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Spendor BC-II

Spendor BC-II
 
Spendor_BC-II ~ロングセラーの不朽の名作~
 
<オークション:110564699233 Spendor BCII Speakers Rare Ends Aug 01, 201008:09:52 PDT>
 
– Spendor BC-II –
 
●イーベイUKにて、スペンドールのあのBC-IIを見つけました。当時BBCのエンジニアだったスペンサー・ヒューズ(Spencer Hughes)によって1969年に設立されました。やはりBBCのエンジニアだった息子のデレクさんと奥さんを中心とする小規模な会社で、社名はスペンサー(Spencer)とドロシー(Dorothy)を合わせてスペンドールになったわけで、ハーベスみたいですねぇ(ハーウッド+エリザベス夫人)。さて、スペンドール社が1969年に設立されたのは、もとは趣味で友人に作ってあげていたスピーカがものすごい性能だったので、回りの人からも注文が殺到し、会社設立となったわけで、このスピーカが名機BC-Iとなり、BBCのモニタとして採用となるわけです。その後、2001年にフィリップ・スウィフト(Philip Swift)に買収され、伝統的技術に進歩的メーカーの技術がプラスされた現代のスペンドール社に成長することができたという数少ない買収による成功例です。型番のBCというのはスペンサー本人曰く、ウーハーに採用された素材のベクストレーン(Bextrene) のBとトゥイータに採用したユニット供給元のセレッション(Celestion) のCという意味だそうです。BC-IはBBCモニタースピーカとして有名ですが、残念ながら市販はされていません。市販されたのがBC-IIとなるわけです。英国BBC放送の標準モニターに採用されているスペンドールBC-Iに高分解能バランスの良さや充実した中音域というその持ち味をベースに改良を重ね、改良型にしたのがBC-IIです、さてどんな音色で鳴ってくれるのでしょうか。
 
●BC-IIはBBCがBC2/8MKIIと呼んでいた20cmのベクストレーン製コーン型ウーハーにセレッションの3.8cmドーム型16ΩトゥイータHF-1300が搭載されていて、これにColesの1.9cmドーム型スーパートゥイータ4001G(これも16Ω)が追加された3ウェイとなっています。4001GはITT(International Telegraph Companyといって1925年にATTが通信機器を譲渡した会社)傘下だったSTC社製STC-4001スーパートゥイータで、ColesはSTCの製造委託会社のことです。これを3kHzと13kHzでクロスさせています。f特は40~20kHzとなっています。
 635x300x300㎜と割と大きめのエンクロージャですが、板厚が薄いのが特徴で、箱鳴りを積極的に取り込んでいますが、適度に減衰させるための工夫がされています。バッフルとバックパネルは12.3mm厚のバルトプライという材質、側板は10.5mmでバーチ材突き板仕上げが施されており、内部には10mmの軽量アスファルトを染み込ませたパネルが装着されており、これで適度な減衰が得られるようになっています。発表は1973年で、このBC-IIが日本でも大ヒットで20年の超ロングセラーモデルとなりました、1996年には復刻版も出ています。そこで1975年には30cm口径のベクストレン・コーン型ウーファーを追加して一回り大きくしたBC-IIIが発表となるわけです。BC-IはBBCモニタのため市販されていないのですが、英国にはちゃんとBC-Iとして発売されているものがあります。BC-I、BC-II見た目はまったく同じなんです。違いはというと、ウーハーのボイスコイル径で、BC-Iは26㎜で、BC-IIが40㎜となっています。
 
●BBCモニタとして有名ですが放送局のモニターとしてだけでなく家庭用としても素晴らしい音楽を提供してくれるスピーカーです。
瀬川さんも大好きだったBC-IIです。菅野氏も、このスピーカーで、とくにクラシックのプログラムソースを、適当な音量で鳴らしたときのすばらしさは比類のないものである、音の粒立ちがよく、それでいてなめらかで、暖かで、艶があって、端正で、そして中音から低音にかけてはたいへん芳醇、と絶賛。弦楽器の再現力は本当にすばらしいものがありますが、私はフルオケには耐えられないなぁという印象を持っています。クラッシックに限らず、ジャズをかけてもその息吹が伝わってくるような味を持ったスピーカーと評価されるあたりはモニタの性格をきちんと踏まえているからでしょう。 ワイドレンジで、全帯域に緊張感がありながら上品な音です。
 
●価格は信じられないことですが、£100(≒\1.4万)となっており6BIDSと大した人気でもありません。日本なら一桁違うと思いますね、秋葉原あたりでこれが置いてあれば私はその場で即買いしています。\5万が相場、\3万で即買いと勝手に値付けいたしました。輸送重量の関係で間違いなく落札価格より送料の方が高いですが、30年のロングセラー名機をいかがでしょうか。
 
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BOSE 2201

BOSE_2201 ~目玉妖怪の奇跡~
 
<オークション:360234068216  2 Mid Century Vintage Bose Corner Speaker 2201 Walnut  Ends Buy It Now>
 
– BOSE 2201 –
 
●イーベイUSにて、BOSEあの目玉妖怪をみつけました。ボーズ社は1964年に米国航空宇宙局(NASA)や米国国防省への技術供給会社として設立されましたが、もちろん創立者はAmar G. Boseです。現在ボーズ社はボストン市外の西南西約70Kmのフレミングハムの森と湖に囲まれた小高い丘の上にあります。1959年にMITの助教授であったボーズ博士がウィズナー工学部長と偶然出会い、自分の音響研究の成果を説明したことが発端となって、「音響に関する研究」がMITの公式プロジェクトとなって今日の心理音響学があるという有名なボーズストーリですね。そこで"不思議な物体"といわれた22個のスピーカー・ユニットを持つ8分の1球体の製品版が今回の出品で2201というもので、とても珍しいものです。私には目玉がたくさんある妖怪みたいに見えて気味悪く感じてしまいますが、、、。心理音響学は、f特やトランジェント特性、歪特性などでは知ることのできない知覚とデータの関係を重視するもので、研究の結果理想的な生演奏の再現には音の来る方向の多角性がきわめて重要であることが理論づけられ、"不思議な物体"が誕生することになったわけです。
 
●1966年に発売の2201ですが、半径22インチ(55㎝)の大きさでスピーカシステムとしては大きく扱いづらいものだと思います。しかも入力は5kΩ、0.5Vということで、つまりプリアンプをつなぐ事が前提の設計なんです。イコライザーと50Wのトランジスタアンプを内臓しており、MITの研究成果をそのまま製品化したようなものです。そこで次期作としてコストとサイズを考慮した901が、1968年に世界初のダイレクト/リフレクティング・スピーカーとして米国国内で販売開始となるわけです。
2201はめったに見ることのないものなので資料もろくにありませんが、22個のユニットを球面上に配置したもので、画像から推測するとユニットは今の11.5㎝口径とそんなに変わらないものが既に使われていたものと思われます。11.5cmとぃうのは低音から高音まで出すのに必要最小限の口径であるという当時の研究成果によるもので、フルレンジゆえの音の広がり方が、2ウェイや3ウェイのスピーカーに比べ非常に広く、音のつながりを気にすることなく安定した音質を提供することが可能というわけです。
外観はウォルナットキャビネットと豪華でアンプ込みで22kgとやはり重いです。マニュアルには天井から吊り下げも可能になっていますが、アンプを別にしても天井が抜けそうで日本家屋には不向きです。また、中央にくっつけて置くことも紹介されていますが、これが壁の真ん中にあったら目立つでしょうね。気味悪いし、、。
 
●さて音なんですが、他社のスピーカシステムとは全く異なるものなので、想像すらできませんねぇ。901の元となる音場感のある聴き疲れしない、バランスの良い音なんでしょう。MITでの実験装置みたいな製品でコストが度外視されており、販売実績は60セット位でした。世の中で聞いたことある人自体が大変少ないわけです。聴いた人たちは従来のスピーカーより良い音がすると認めはしましたが、大きすぎて消費者にとっては扱いにくかったとのこと、商業的には失敗だったわけです。
●価格は開始価格が$2699(≒\25万)となっておりBuyItNowです。オークションに出ること自体が大変珍しいものなので、値段のつけようがなく貴重品価格になってしまいますが、一応\25万が相場、\8万で即買いと勝手に値付けいたしました。場所はとるし、妖怪だし、、、でも歴史的な逸品です。日本の狭い住宅事情ではちょっと使いにくそうですが、公共施設なんかに置いとくのも一興ではないかと。
 
 
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