BOSE 2201

BOSE_2201 ~目玉妖怪の奇跡~
 
<オークション:360234068216  2 Mid Century Vintage Bose Corner Speaker 2201 Walnut  Ends Buy It Now>
 
– BOSE 2201 –
 
●イーベイUSにて、BOSEあの目玉妖怪をみつけました。ボーズ社は1964年に米国航空宇宙局(NASA)や米国国防省への技術供給会社として設立されましたが、もちろん創立者はAmar G. Boseです。現在ボーズ社はボストン市外の西南西約70Kmのフレミングハムの森と湖に囲まれた小高い丘の上にあります。1959年にMITの助教授であったボーズ博士がウィズナー工学部長と偶然出会い、自分の音響研究の成果を説明したことが発端となって、「音響に関する研究」がMITの公式プロジェクトとなって今日の心理音響学があるという有名なボーズストーリですね。そこで"不思議な物体"といわれた22個のスピーカー・ユニットを持つ8分の1球体の製品版が今回の出品で2201というもので、とても珍しいものです。私には目玉がたくさんある妖怪みたいに見えて気味悪く感じてしまいますが、、、。心理音響学は、f特やトランジェント特性、歪特性などでは知ることのできない知覚とデータの関係を重視するもので、研究の結果理想的な生演奏の再現には音の来る方向の多角性がきわめて重要であることが理論づけられ、"不思議な物体"が誕生することになったわけです。
 
●1966年に発売の2201ですが、半径22インチ(55㎝)の大きさでスピーカシステムとしては大きく扱いづらいものだと思います。しかも入力は5kΩ、0.5Vということで、つまりプリアンプをつなぐ事が前提の設計なんです。イコライザーと50Wのトランジスタアンプを内臓しており、MITの研究成果をそのまま製品化したようなものです。そこで次期作としてコストとサイズを考慮した901が、1968年に世界初のダイレクト/リフレクティング・スピーカーとして米国国内で販売開始となるわけです。
2201はめったに見ることのないものなので資料もろくにありませんが、22個のユニットを球面上に配置したもので、画像から推測するとユニットは今の11.5㎝口径とそんなに変わらないものが既に使われていたものと思われます。11.5cmとぃうのは低音から高音まで出すのに必要最小限の口径であるという当時の研究成果によるもので、フルレンジゆえの音の広がり方が、2ウェイや3ウェイのスピーカーに比べ非常に広く、音のつながりを気にすることなく安定した音質を提供することが可能というわけです。
外観はウォルナットキャビネットと豪華でアンプ込みで22kgとやはり重いです。マニュアルには天井から吊り下げも可能になっていますが、アンプを別にしても天井が抜けそうで日本家屋には不向きです。また、中央にくっつけて置くことも紹介されていますが、これが壁の真ん中にあったら目立つでしょうね。気味悪いし、、。
 
●さて音なんですが、他社のスピーカシステムとは全く異なるものなので、想像すらできませんねぇ。901の元となる音場感のある聴き疲れしない、バランスの良い音なんでしょう。MITでの実験装置みたいな製品でコストが度外視されており、販売実績は60セット位でした。世の中で聞いたことある人自体が大変少ないわけです。聴いた人たちは従来のスピーカーより良い音がすると認めはしましたが、大きすぎて消費者にとっては扱いにくかったとのこと、商業的には失敗だったわけです。
●価格は開始価格が$2699(≒\25万)となっておりBuyItNowです。オークションに出ること自体が大変珍しいものなので、値段のつけようがなく貴重品価格になってしまいますが、一応\25万が相場、\8万で即買いと勝手に値付けいたしました。場所はとるし、妖怪だし、、、でも歴史的な逸品です。日本の狭い住宅事情ではちょっと使いにくそうですが、公共施設なんかに置いとくのも一興ではないかと。
 
 
カテゴリー: オーディオ パーマリンク

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